【取得して分かった】事業継続力強化計画とは?
BCPとの違いと製造業が認定を受けるメリットを解説
近年、地震や台風などの自然災害が相次ぐ中、企業の危機管理能力がこれまで以上に問われています。特に工場や機械設備を抱える製造業にとって、災害による操業停止は企業の存続に直結する死活問題です。
そうした中、国(経済産業省)が中小企業向けに強く推奨しているのが「事業継続力強化計画(通称:ジギョケイ)」の認定制度です。
「BCPなんて大企業がやるもので、うちには難しすぎる」「書類作成に膨大な時間がかかりそう」と思われるかもしれません。しかし、私自身、2026年6月5日に当事務所の「事業継続力強化計画」を申請・認定取得しましたが、事前の準備を除けば実際のシステム入力等は比較的スムーズに完了し、拍子抜けするほどシンプルなものでした。
本記事では、自ら認定を取得した行政書士が、従来のBCPとの決定的な違いや、実際の申請方法、そして製造業の経営者様が絶対に取得しておくべき「強力なメリット(補助金の加点や大手との取引強化など)」について、現場のリアルな視点から分かりやすく解説します。
当事務所も2026年6月に「事業継続力強化計画」の認定を取得しました。
自社の策定支援をご希望の経営者様は、お気軽にご相談ください!
1. 【実体験】多方面からの「気づき」が計画策定の最大の収穫
「国に提出する計画書」と聞くと、分厚い資料を何日もかけて作るイメージがあるかもしれません。しかし、今回私が当事務所の事業継続力強化計画を電子申請システムで作成・申請した際、かかった時間はトータルで約1時間半程度でした。
そして、申請にかかる手間の少なさ以上に大きな収穫だったのが、計画を策定する過程で、自社の周りに潜むリスクを多方面から再確認できたことです。
- ハザードマップを確認し、水害や土砂災害の危険性が自社の立地にどの程度あるのかを具体的に把握できた。
- 大地震が起きた際、工場やオフィスにどのような被害(停電、断水、機器の転倒など)が及ぶかをシミュレーションできた。
- いざという時に従業員が避難すべき「地域の指定避難場所」の正確な位置や、安否確認のフローを改めて整理できた。
日々の業務に追われていると、こうした「もしもの備え」は後回しになりがちです。国が用意したフォーマットに沿って自社の状況を埋めていくだけで、事業を継続するために必要な最低限の情報が自然と整理される。これこそが、この制度の最も優れた点だと感じました。
2. 「BCP」と「事業継続力強化計画」の決定的な違い
よく「BCP(Business Continuity Plan)」と混同されますが、両者には明確な違いがあります。
従来のBCP(事業継続計画)
網羅的で非常に詳細な計画です。大企業を中心に策定されていますが、「項目が多すぎて何から手をつければいいか分からない」「作ったはいいが分厚すぎて誰も読まない(形骸化する)」という理由から、中小企業での策定率は長年伸び悩んでいました。
事業継続力強化計画(ジギョケイ)
従来のBCPに対する反省から、中小企業基盤整備機構などが中心となって設計した「中小企業のための簡易版BCP(入門編)」です。発生確率の高い自然災害にフォーカスし、「まず何をすべきか」「誰に連絡するか」といった初動対応と実効性に重きを置いています。項目が絞られているため、中小企業でも比較的容易に策定でき、かつ国から「お墨付き(認定)」をもらえるのが最大の違いです。
3. 認定を取得するための具体的な方法とフロー
事業継続力強化計画の認定は、現在、経済産業省が運営する「事業継続力強化計画 電子申請システム」を通じて、完全オンラインで行うことができます。
- GビズIDプライムアカウントの取得: 電子申請に必須となるアカウントです。(未取得の場合は発行に数週間かかることがあります)
- 現状の把握とリスク分析: ハザードマップポータルサイト等を用いて、自社の事業所・工場が抱える自然災害リスクを調べます。
- 計画の策定と入力: 人員体制、安否確認方法、重要設備の防護対策(機械の固定など)、データのバックアップ方針などを、システム上で入力していきます。
- 電子申請の実行: 必須項目を埋め、国(地方経済産業局)へデータを送信します。
- 審査と認定書の交付: 不備がなければ、概ね数週間から1ヶ月程度で認定書(PDF)がマイページに交付されます。
4. 【製造業必見】認定取得が「ものづくり補助金等」の強力な加点に!
設備投資の多い製造業の皆様に、私がこの「事業継続力強化計画」を強くおすすめする最大の理由があります。それは、単に防災対策になるだけでなく、今後の設備投資で活用できる「各種補助金の審査で圧倒的に有利になる」からです。
補助金における「加点措置」の絶大な効果
例えば、数百万〜数千万円の工作機械やロボット導入に使える「ものづくり補助金」や「省力化投資補助金」など、経産省系の主要な補助金の多くにおいて、事業継続力強化計画の認定企業は「審査における加点対象」として公募要領に明記されています。
補助金の採択競争が激化する中、この加点を持っているか持っていないかで、採択の当落線上(ボーダーライン)を大きく分けることになります。「いざ補助金を申請しよう!」と思ったタイミングで慌ててジギョケイを申請しても、認定が間に合わないケースが多発しているため、設備投資の予定がなくても、今のうちに平時で認定を取っておくことが最強の経営戦略です。
5. 大手との取引強化・税制優遇など、製造業ならではのメリット
補助金の加点以外にも、認定を受けることで、工場を抱える製造業にとって非常に有利な様々なインセンティブ(優遇措置)が用意されています。
- 大手メーカーからの信頼獲得(サプライチェーン防衛):
昨今、大手メーカーは自社のサプライチェーンを守るため、下請け企業に対してもBCPの策定を強く求めるようになっています。国の認定ロゴマークを使用することで、「災害時でも納品を止めない(復旧が早い)信頼できる企業」として、大手との取引継続や新規受注における強力なアピール材料になります。 - 防災・減災設備に対する税制措置:
計画に基づいて一定の防災設備(工場用の自家発電機、制震ラック、止水板など)を取得した場合、その設備にかかる特別償却(税負担の軽減)を受けられる特例があります。 - 金融支援(低利融資等):
日本政策金融公庫からの低利融資や、信用保証協会の保証枠の拡大など、災害対策資金を調達しやすくなる支援措置が受けられます。
NAKA行政書士事務所は、関西を中心とした製造現場を知り尽くした「製造業支援特化型」の行政書士事務所です。私自身の認定取得の経験と、法律家としてのノウハウを活かし、御社の実態に合った「実効性のある事業継続力強化計画」の策定をサポートいたします。「補助金申請に向けて加点を取っておきたい」「自社だけでシステム入力をするのは不安だ」とお考えの経営者様は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
事業継続力強化計画の認定支援から、有利になる補助金申請のトータルサポートまで。
経営の右腕として伴走する「顧問契約」のご相談も承ります。
6. この記事を書いた人(専門家プロフィール)
[行政書士 中田 大智]
NAKA行政書士事務所 代表 / 関西の製造業支援特化型・行政書士
関西を中心とした製造業(町工場・メーカー)の支援に特化した行政書士。不透明なコンサル業界や一部悪徳業者による違法な申請に一石を投じるべく、適法かつ適正価格での「入金後まで徹底的に伴走する」補助金サポートを展開。設備投資に関する事業計画書作成や、事業継続力強化計画(ジギョケイ)の策定支援から、工場新設に伴う許認可手続き、外国人の就労ビザ申請まで、製造業に不可欠な行政手続きをワンストップでサポートしています。また、経営者の権利をより強固に守るため「特定行政書士」の資格取得(本年度予定)を進めるなど、常に専門性の研鑽に努めています。「社長がモノづくりに専念できる環境をつくる」をモットーに、独立した立場で経営の右腕(法務顧問)として伴走します。
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