【第1回公募開始】ものづくり補助金と新事業進出が統合
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の違いと全貌
長年、中小企業の設備投資を力強く支援してきた「ものづくり補助金」と、新たな市場への挑戦を後押ししてきた「新事業進出補助金」。これらが令和8年度(2026年度)より、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として新たなスタートを切りました。
そしてこの度、待望の「第1回公募」が令和8年6月29日より開始されました!
本記事では、公式発表された「公募要領(第1回)」に基づき、元々の補助金の役割から、今回の統合によって「何がどう変わったのか(違い)」、そして新たに設定された「3つの申請枠と厳しい要件」について、専門家が分かりやすく解説します。
📢 【現在受付中】第1回公募スケジュール
- 公募開始:令和8年(2026年)6月29日(月)
- 申請締切:令和8年(2026年)9月30日(水) 18:00【厳守】
- 採択発表:令和8年(2026年)12月頃(予定)
※GビズIDの取得や事業計画の策定には時間がかかります。早めの準備をお願いいたします。
1. 元々の「ものづくり補助金」と「新事業進出」について
今回の新制度を理解するために、まずはベースとなった2つの代表的な補助金について振り返りましょう。
① ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)
長年、中小企業の設備投資支援の代名詞として活用されてきました。革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善(機械設備の導入など)に必要な経費を補助し、企業の生産性向上を強力にバックアップする制度でした。
② 中小企業新事業進出促進補助金(新事業進出補助金)
コロナ禍で一世を風靡した「事業再構築補助金」の流れを汲む制度です。既存事業とは異なる「新たな市場」への進出や、思い切った事業転換(新分野展開など)を行う際の設備投資や建物改修費などを支援する役割を担っていました。
これらはそれぞれ独立した補助金として機能しており、事業者は「プロセスの改善ならものづくり」「新しい市場への挑戦なら新事業進出」といった形で使い分けていました。
2. これまでの補助金と今回の補助金との「違い」
今回の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、名称からも分かる通り、上記2つの補助金が統合・再編された制度です。主な違いとして、以下の3点が挙げられます。
違い①:申請枠が1つの制度内に集約された
これまで別の窓口・別の要領で動いていた「革新的な製品開発」「新事業への進出」が、一つの補助金の中の「申請枠(コース)」として整理されました。これにより、事業者は自社の目的に合致する枠を一つの要領の中から選択する形になります。
違い②:「プロセスの改善」が対象外に(革新性の要求)
旧ものづくり補助金では、「既存の生産ラインに最新の機械を入れて効率化する(プロセス改善)」といった申請が多く認められていました。しかし新制度の公募要領には、『既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図る事業は補助対象外』と明確に記されています。単なる設備の買い替えや機械の導入ではなく、「新たな価値を提供する新製品・新サービスの開発」を伴わなければ対象になりません。
違い③:「賃上げ」へのコミットがより厳格化
国が「賃上げ」を最重要政策に掲げていることを反映し、賃上げ目標(1人当たり給与支給総額や事業場内最低賃金の向上)の未達に対するペナルティが非常に厳しくなりました。目標が未達だった場合、補助金の全額または一部の返還を求めることが強く明記されています。
3. 新制度の概要:目的別に用意された「3つの枠」
本補助金では、自社の取り組みに応じて以下の「3つの枠」から選択して申請します。
| 申請枠 | 概要・対象となる取り組み | 補助上限額(※通常時) |
|---|---|---|
| ① 革新的新製品・サービス枠 | 顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力を活かして革新的な新製品・新サービスを開発する取り組み。 ※単なるプロセス改善は対象外。機械装置・システム構築費の計上が必須。 |
750万円 〜 2,500万円 (※特例適用で最大3,500万円) |
| ② 新事業進出枠 | 既存事業とは異なる、自社にとって「新たな市場」をターゲットとした高付加価値事業への進出。 ※機械装置または建物費の計上が必須。 |
2,500万円 〜 7,000万円 (※特例適用で最大9,000万円) |
| ③ グローバル枠 | 自発的に新たな海外販路(既存とは異なる国・地域)を開拓するうえで必要となる、国内製造等拠点の強化。 ※海外旅費や通訳・翻訳費も一部対象。 |
2,500万円 〜 7,000万円 (※特例適用で最大9,000万円) |
※補助上限額は従業員規模によって変動します。また、大幅な賃上げ等を行う「賃上げ特例」を適用することで括弧内の金額まで上限が引き上げられます。
4. 要注意!未達なら返還も。高くなった「基本要件」のハードル
本補助金に申請するためには、単に事業計画を作るだけでなく、国が定める高い経営目標(3〜5年計画)を設定し、それを達成する義務を負います。
すべての申請者が満たさなければならない基本要件の一部を抜粋します。
- 付加価値額要件: 事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みであること。
- 賃上げ要件: 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること。(未達の場合は補助金の返還義務あり)
- 事業場内最賃水準要件: 事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い水準であること。(未達の場合は一部返還義務あり)
- 他にも、「一般事業主行動計画の公表」や「子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み」など、労働環境の改善に関わる要件が追加されています。
このように、「ただ機械を買って生産性を上げる」時代から、「生み出した付加価値をしっかり従業員に還元し、労働環境を整える企業」だけを国が支援するという強い意志が公募要領から読み取れます。
5. 専門家(行政書士等)に事業計画を依頼するメリット
要件が厳格化し、統合によって公募要領の解釈がより複雑になった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」。
この補助金を獲得し、かつ「後からの返還リスク」を回避するためには、事業計画策定段階から専門家(行政書士等)のサポートを受けることが非常に有効です。
① 「革新性」「新市場性」を論理的に証明する文書力
審査員に対し、自社の取り組みがいかに「単なるプロセス改善ではなく革新的か」、あるいは「既存事業とは明確に異なる新市場か」を客観的なデータ(RESAS等)を用いて論理的に説明する事業計画書を作り上げます。
② 実現可能性とリスクを考慮した「経営数値の設計」
無理な賃上げ目標を設定してしまうと、数年後に補助金返還という大きな痛手を負います。専門家が間に入ることで、自社の財務状況と市場予測をすり合わせ、「達成可能かつ審査に通りやすい絶妙な目標数値」の設計を支援します。
NAKA行政書士事務所は、関西の製造現場に日々寄り添う「製造業支援特化型」の行政書士事務所です。
大幅なリニューアルを遂げた本補助金においても、要件の解釈から事業計画の執筆、さらに入金後の効果報告(賃上げ要件の管理)まで、経営者様の右腕として徹底的に伴走いたします。「今回の設備投資がどの枠に当てはまるのか知りたい」という段階から、ぜひお気軽にご相談ください。
6. この記事を書いた人(専門家プロフィール)
[行政書士 中田 大智]
NAKA行政書士事務所 代表 / 関西の製造業支援特化型・行政書士
関西を中心とした製造業(町工場・メーカー)の支援に特化した行政書士。不透明な業者による不適切な申請を未然に防ぎ、適法かつ「入金後まで徹底的に伴走する」補助金サポートを展開。本記事のようなITツール導入・AI活用に向けた事業計画書作成支援から、工場新設に伴う許認可手続き、外国人の就労ビザ申請まで、製造業に不可欠な行政手続きをワンストップでサポートしています。「社長がモノづくりに専念できる環境をつくる」をモットーに、独立した立場で経営の右腕(法務顧問)として伴走します。
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また、本記事は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領」等の公式発表資料等に基づき作成しておりますが、制度の詳細や最新の要件等は変更される可能性があるため、必ず公的機関や補助金事務局の最新情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家まで直接ご相談ください。
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