【2026年5月版】AI時代に行政書士は必要か?
製造業支援で求められる“人にしかできない業務”とは
「ChatGPT」などの生成AIが急速に普及し、簡単な契約書の雛形や事業計画書の骨子がわずか数秒で作成できる時代になりました。「AIがあれば、高い報酬を払って士業(行政書士や税理士や弁護士など)に頼む必要はもうないのでは?」と私は考えていました。
実際にAIを駆使して運用していると、「単なる書類の代書(言われたことを文字に起こすだけ)」であれば、AIの方が圧倒的に早く、正確で、安上がりです。代書屋としての行政書士の仕事は、間違いなく激減していくでしょう。
しかし、こと「製造業の現場支援(複雑な補助金申請や、実態に即した契約書作成)」においては、AIの台頭によって逆に「人にしかできない業務(専門家の真の価値)」が色濃く浮き彫りになってきています。
本記事では、製造業支援に特化した行政書士の視点から、AI時代に経営者が専門家に求めるべき“本当の価値”と、これからの時代を生き抜くための専門家の選び方を解説します。
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1. AIが得意なことと「代書屋」の終焉
AIは、過去の膨大なデータから一般的な回答を導き出したり、定型的な文章を美しく整えたりすることが非常に得意です。
例えば、「一般的なNDA(秘密保持契約書)の雛形を作って」「部品加工業における〇〇補助金の事業計画書の書き方を教えて」といった指示(プロンプト)を出せば、もっともらしい文章を一瞬で出力してくれます。誤字脱字のチェックや、長い文章の要約はお手の物です。
例えば補助金申請においても、やろうと思えば事業主様ご自身でAIを駆使し、それらしい事業計画書を作成することは十分に可能な時代です。(もちろん、現場のリアルな泥臭さや独自の強みが伝わらなくなるため、実際の採択率は大きく下がると思われます、ただ形だけなら作れてしまいます。)
もし行政書士が、お客様からヒアリングシートを受け取り、それをただ「言われた通りに文章を整えて書類の枠に埋めるだけ」の仕事(=単なる代書屋)をしているなら、AIに取って代わられるのは時間の問題です。お客様自身がAIを使えば済む話だからです。私自身もそういった行政書士含め士業は淘汰されて致し方ないと考えています。ホワイトカラーの仕事が激減しブルーカラーの需要が増大すると言われているのも納得します。
2. 価値①:現場の「暗黙知」を汲み取り言語化する力
では、AIにできなくて人間にできることは何か。その第一が「文脈を読み取り、暗黙知を言語化する力そして多方面からの予測の反映、何よりも現場の経験則」です。
製造業の現場には、図面やマニュアル、Web上のデータには表れない「暗黙知」が無数に存在します。AIはテキストで入力された情報以上のことは理解できませんが、生身の専門家は現場の空気を感じ取ることができます。
- 工場に響く機械の音や、工具の配置から読み取れる現場の「本当の課題」
- 職人が無意識に行っている絶妙な加工ノウハウや技術力
- 社長の言葉の端々に隠れた、事業に対する「熱い想い」や「目指す未来」
これらを現場で直接見て、聞き出し、深掘りし、「審査員の心を動かす、血の通った事業計画書」や「現場のオペレーションに即した実用的な契約書」へと翻訳・言語化する作業は、AIには決してできません。泥臭いヒアリングと対話こそが、専門家の腕の見せ所です。
3. 価値②:感情を伴う「対人折衝」とグレーゾーンの判断
行政手続きや法務・契約実務は、法律やルールの「白黒」が常に明確なものばかりではありません。
グレーゾーンにおける行政との交渉
補助金の要件解釈が微妙なケースや、許認可の要件ギリギリのグレーゾーンにおいて、行政の窓口へ足を運び、担当官の意図を汲み取りながら「この方法なら適法に受理してもらえる」という着地点を泥臭く探り当てる交渉は、AIには不可能です。
取引先との人間関係を考慮した契約調整
契約書の作成においても、自社に有利な条件(AIが作るような完璧で冷酷な契約書)を相手に突きつければ、取引関係が破綻してしまうことがあります。相手の立場や力関係、過去の人間関係を考慮し、「ここは譲るが、ここは死守する」という落としどころを見つけるのも人間の専門家の役割です。
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4. 価値③:リスクを背負い、孤独な経営者の「決断を後押し」する責任
専門家とAIの間の、最大にして決定的な違いは「責任を背負い、決定できるかどうか」です。
AIは無数の尤もらしい選択肢や文章を提示してくれますが、最終的な「決定(ハンコを押すこと)」は決してしてくれません。AIが作成した契約書に重大な抜け漏れがあって自社が損害を被っても、AIが書いた事業計画書で補助金の不正受給とみなされても、AIは一切の責任を取ってくれません。すべての責任とリスクは、入力した経営者自身が背負うことになります。
一方、行政書士などの国家資格者は、ある意味において「法律に守られ、かつ法律に縛られている存在」です。厳しい法律(行政書士法や倫理規程)のもとで手続きの独占業務を認められている代わりに、自らの作成した書類に「職印」を押し、厳しい法的責任を背負って業務を行います。
事業における最終的な「決定」は、AIではなく生身の人間である社長にしかできません。何千万円という設備投資の決断や、会社の命運を左右する契約の場面で、「私が法的リスクを確認し、法律の盾となって守りますから、社長は安心して決断してください」と背中を押すこと。これこそが、生身の専門家が提供する最大の価値です。
5. AI時代に製造業が選ぶべき専門家の条件とは
以上のことから、これからの時代、製造業の皆様が士業・コンサルタントを選ぶ基準は「書類を作れるかどうか」ではありません。以下の条件を満たす専門家を選ぶことが、激動の時代を生き抜く力となります。
- AIを「道具」として使いこなしているか: 基礎的な書類作成やリサーチにはAIを活用し、スピードとコスト効率を高めつつ、浮いた時間を「人間同士の対話」や「現場の視察」に充てているか。
- 現場に足を運び、自社のビジネスを理解しようとするか: メールやオンライン会議だけで済まさず、油の匂いがする現場に足を運び、社長や職人と同じ目線で考えようとする姿勢があるか。
- 単なる手続き屋ではなく「経営の右腕」として伴走してくれるか: 補助金を通すことだけを目的とせず、事業の将来を見据えた法務面・資金面のアドバイスをしてくれるか。
NAKA行政書士事務所は、関西の製造現場に日々寄り添う「製造業支援特化型」の行政書士です。AIには決して真似できない「徹底的なヒアリング力」「現場の熱意を言語化する力」、そして「経営者のリスクを背負い、決断を後押しする覚悟」をもって、御社の事業成長をサポートいたします。「自社の本当の強みを引き出してほしい」「AIで作った書類に不安がある」とお考えの経営者様は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
書類作成の代行にとどまらない、本質的な経営支援・補助金申請。
経営の右腕として伴走する「顧問契約」のご相談まで承ります。
6. この記事を書いた人(専門家プロフィール)
[行政書士 中田 大智]
NAKA行政書士事務所 代表 / 関西の製造業支援特化型・行政書士
関西を中心とした製造業(町工場・メーカー)の支援に特化した行政書士。不透明なコンサル業界や一部悪徳業者による違法な申請に一石を投じるべく、適法かつ「入金後まで徹底的に伴走する」補助金サポートを展開。AIには不可能な「現場の暗黙知の言語化」と「経営者に寄り添う対話」を重視し、事業計画書作成から、設備投資に伴う関連法規のチェック、取引先との契約書作成・リーガルチェックまで、製造業に不可欠な行政手続きをワンストップでサポートしています。「社長がモノづくりに専念できる環境をつくる」をモットーに、経営の右腕(法務顧問)として伴走します。
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